話のタネ(30)花札誕生のいきさつ
天文年間(1532~55年)に、貿易相手国であったポルトガルの船員が わが国へトランプを持ち込んだといわれている。
そして、天正年間(1573~92年)には、国産トランプがつくられている。
「天正カルタ」とか「うんすん・カルタ」と呼ばれるもので、絵札は「ウン」と呼ばれる札が七福神、「スン」が公家や武将、「ロハイ」が竜といったように日本風で、スーツはこん棒、剣、杯、貨幣で、イタリア、ポルトガルの14世紀のトランプに似たものだった。
天正カルタは、その後数百年間、国内で広く親しまれたが、賭博の道具に使用されるようになったため、寛政の大改革の際、御法度となってしまった。
そこで、京都のアイデアマンが考えだしたのが花札である。
図柄も日本的で美しく、禁止となった数字を表す記号もないということで、幕府も見逃さざるを得なかった。
なお、現在も使われているようなトランプがわが国に伝わったのは、江戸時代も末期。
国産のトランプがつくられたのは明治38年で、日露戦争で捕虜となったロシア人のためにつくられたといわれている。
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